内部感覚

とある塾生の雑記 その1 「内部感覚」

今週は前回、ご案内させていただいたように、塾生さんのアウトプットを紹介させていただきます。
いろいろな表現や考察が、皆さまの練功にプラスになる事と信じております。

「内部感覚」

皆さん、初めまして。合気練功塾に入塾して丸一年になる大屋と申します。
合気練功塾の動画で配信されていない、というか配信されても何をしているか今一つよく理解できないであろう「内部感覚」について、私自身の体験を通して言語化することにより、私自身の合気に対する整理だけでなく、皆さんの合気に対する理解への一助になればと思い、このコラムを書くことになりました。

まず「内部感覚」には自他両方の内部感覚があります。私自身も最近ようやく他人の内部感覚が少しずつ分かり始めてきましたが、自身の内部感覚がよく理解できていないと他人の内部感覚も理解できないため、日々の錬功に取り入れている準備運動的な内部感覚の養成法について列記します。

① 両手掌を合わせて擦り合わせる(30秒)
② 両手指をつけたまま、手掌を離し、指尖部(十宣穴というツボ)同士で拍手するように軽く叩く(30秒)
③ 両手をヘソの前まで下げて数cm離し、両手に意識を集中する

すると、両手や指先が、熱いお風呂に入った時に感じるようなジンジンとした感覚に包まれます。あまり難しいことは考えずに、この感覚が「気感」なんだと脳にインプットし、じっくりと味わいます。( Don’t think, feel. )

④ 蒸気機関車の主連棒のように両腕を交互にゆっくりと動かす

すると、両手が磁石の斥力のようにお互いに反発し合う感覚が出てきます。その状態で両手の間隔を少しずつ離し、この感覚が途切れないように繰り返し練功します。ある院生に教えていただいた③の状態から片方の手で反対の手掌に向かって指差し円を描くと、手掌にもその感覚が伝わるという意識のトレーニング方法も面白いので、是非試してみてください。

内部感覚について、私自身の勝手な解釈では体のセンサーの感度を最大限に高めて非常に繊細な感覚になると色々なことを感じやすくなる、またそのために如何に力まずにできるのかがポイントになると考えています。まだ、この感覚がハッキリとわからない方はまずはあまり力まずに①から④を繰り返し、この不思議な感覚を堪能してみてください。

合気練功 基本2系のゆるみについて

基本2系(下への変化)では、相手に掴まれた手首の皮膚を使って、相手の重心に影響する程度の圧を加える。自分が不安定になり相手に支えさせる関係ができたとき繋がったといってよい。重心の均衡点を少し自分の方に引きながら、「下」と「引き」の2つのベクトルを使って膝が曲がりやすい方向へ合力をつくると相手はしゃがむ… というのが今までの理想的な基本2系の変化である。

最近の練功塾ではこの2系の形が変わってきている。基本1系の応用編のように人差し指を握らせた状態から、引くことで相手の重心に影響して繋がりを作る。この時に少しだけ上方向に圧かかけて肩関節が動かないように(肩を固める筋がはたらくように)することがコツであろうか。この後、内部感覚で背骨に「張」を持たせるように圧を高めて相手の重心を引き出すと基本1系(上への変化)になってしまうが、張った感覚をゴムが弛むかのように撓ませると相手の内部感覚も緩んでいく。塾長にかけられるとあたかも腰が抜けたかのように腰に力が入らず「へにゃへな~」と膝が曲がっていってしまう。これが最近の基本2系である。

以前の稿にも書いたことがあるが、2系の変化は膝や腰に負担がかかるため、カラダを鍛えている方や関節に故障がある方、反応が良い方には変化の初動で容易にぶつかってしまう。塾長は最近の集中講座や個人レッスンでこのタイプの方々の相手を散々して、今までの基本2系を見直したそうだ。やられてみた感じ、力が抜けるし、何が行われたのか気づくことも難しいため、ぶつかり様がない(ぶつけようがない)。
塾長曰く、「脳をハッキングする」だそうだ。
相手が「変化しないぞ!」と自分の体に指令を出していても、それをいったん切ってしまうように「ゆるみ」を使うである。そのためにまずはきちんと支えさせる繋がりを作り上げて、相手の内部感覚を変化させてから、再度、内部感覚を変化させて脳の指令を切っていくのだ。術者としては相手のカラダの変化を受容できるセンサーを持ち合わせていなければならず、かなりの繊細さが要求されるようだ。

よくよく説明を聞き、内部感覚を持ち合わせている院生さんを相手に、コヒツジ会で挑戦してみる。内部感覚の変化をいちいち問い合わせ、確認しながら試みるも接触の圧を変えずに内部感覚のみ弛ませることが高難度。姿勢変化が生じても相手との接触点の圧が変わらないように相手の動きに追従することも必要。それができないとつながりが切れてしまう。

「合気のカラダ4元のように空気の抵抗を感じる程度に相手との圧を感じて同調し…」
「相手の内部感覚の変化は5元の感覚でとらえて…」

………、果てしない道のりを感じます。

合気練功 2元のカラダについて

昨今、塾長も院生方も2元のカラダの重要性を口々に発する。2元のカラダが全ての合気練功の胆(きも)といって差し支えないようだ。

2元のカラダの練功は、ゴム感覚を認識するヘアゴムを引く練功の次の段階である。自分のカラダの中にゴムを引くような弾力感が作り出せると解ったら、その感覚を拡張していき体幹部分にゴムで引かれるような、または水圧を受けているような感覚を得ていく。全身の姿勢保持のはたらきを自覚して使えるようにするのが練功の目的だと思う。いきなり鈍感な体幹部に持っていくことがこの練功のハードルの高さだと思う。
背骨揺らしで体幹部の意識を高めて、相手の腕を使って、はたまた壁や机を使って自分がバランスを取る動きを仔細に感じていくと自分のカラダの状況がだんだんと解るようになってきた(相手を使うといろいろと状況変化が生じるので、壁や手すりなどを使って自分の中の要素だけにした方が解りやすいかもしれない)。

回想してみると、最初はつま先だけで踏ん張って、次に脹脛で頑張って、もたれ掛かっている時は肩や腕だけが頑張って、どれも全身で作り出したものではないので合気のカラダとは言えないと思う。1系で相手に上げられているつもりで、または4系で押し込まれているつもりで、自分の重心を動かしていってコケないように頑張る。頑張っても局部的な力みがないカラダ(意識)を作るのだろう。

次に相手と接触したときであるが、相手から反発力を単独練功時に感じた体幹部のゴムの代わりにして、押しているのだけれども押し返されつつ、引っ張っているのだけれども引っ張られていると、感覚を持っていけばいいのだと思っている。
塾長は示演のために「お~っ」と言って大きく伸び上がっているのだと想像するが、単独練功で2元の内部感覚がイメージできているから、接触前から自分を引っ張っておいて接触時にあまり時間をかけずにつながってしまえるのだと思う。極めつけは、塾長はカーテンを相手にしても自分に合気をかけることができるのである(集中講座に参加された方はご覧になったと思う)。カーテンレールの金具のところからの反発を受容して自分をつなげて重心が移動するのだが、これも内部感覚の操作と考える。

気を付けるべきは「相手(カーテン)に上げられている状況」を作ることで、自分だけで動かないようにすることである。私がやると極めて怪しい。カーテンの反発力とは関係ない背伸びとなるのが関の山だ。

 

合気練功の「軸」と呼ばれるものについて

アメリカから遙々、練功塾に来られる方からメールでお題とともに内部感覚についての新しい視点をいただける。確認の意味もあって深く考えたことがない視点について改めて考えてみる。「もっと深い概念がそれぞれの分野・流儀にあるのだろう」ということを十分に承知で自分勝手に呟かせていただくことにする。

武道やスポーツではよく体軸について語られる事がある。
身体の運動で物理的に高効率な動きができる時に見出される、基準となる線のことと思っている。人間の体は歯車やベアリングではないので、その線を作るのは連動するマッスルベルトであるので本来はとても複雑な動きの基準線である。運動の方向性によってさまざまな軸が見て取れると思われるが、運動時の筋肉の協調性を表現する際に「軸」と総称しているのではないだろうか。
体幹の回旋では鼠蹊部または股関節を意識して動くことを教えてくれたのも、松原先生と呼ばれていたころの塾長だった(懐かしい)。私自身の背骨揺らしの自発動もよく確認してみると右足から左肩に抜ける動きがやりやすく、反対側は少し渋い。この偏差が筋の過緊張や疲労の偏りをもたらしているのであれば、操体法や整体でバランスを取ることは有意である。

静的な立ち姿については、骨格が無理なく頭部を支えている位置関係が「軸」と捉えられるのだろうと思っている。大後頭口の前縁が仙骨の上にくるぐらいで背骨がS字湾曲している感じだろうか。椎体が積み木のように約7㎏の頭部を支えていれば、筋肉が緊張し続ける必要はないが、日本人は頭部が前方に出て猫背や反り腰が多いらしい。7㎏の鉄アレイを持って「前ならえ!」筋肉はすぐにプルプルする。これを首や背や腰は長時間やっているのだと思うと部分的な凝りが生じるのも当然である。本来は存在しないものを意識して、運動を整えるあたりは合気練功と同じであるが、やはり難しいので「お尻をすぼめてお腹が凹むと仙骨が良い角度に立つ」なんて、とりあえずの整え方が様々な媒体で紹介されている。

さて合気練功の体軸についてだが、2元のゴム感覚で姿勢保持筋をはたらかせるとき、反り腰、前かがみ等、背骨が不揃いだと、カラダのゴム感覚が緩んだり抜けたりすると感じていた。よって背筋は真直ぐな軸を保ったまま、寄り掛かりにならないように体幹前面に重力がかかるというのが、不安定を内包しているカラダの状態と思っていた。しかし昨今、背骨を弓ならせる・湾曲させるなどの意念が登場してきた。背骨を繋ぐ筋の張力を用いるということで、外見上、弓なる必要はないのだが、真直ぐな背筋が必要とはなっていない。

合気のカラダがきちんとつながると、意識上で背骨を通じる線が四肢に分岐して指先まで到達していく。これが塾長のイメージで、「軸」という物理的な線はあまり意識されていないようだ。ただし、もしかしたら「そんなものは自動運転で結果的に整ってしまう。」と一蹴される事なのかもしれない。

内部感覚について(その2)

手のひらで単線のゴム感覚が出たら1元。しだいにそのゴム感覚を全身に拡張していくわけだが、特に2元(複線)のゴム感覚は重要である。2元であるということは、意識的にはゴムがないと倒れる、不安定を内包している状態と理解している。腕のゴム感覚を維持しつつ体幹に繋がるゴム感覚が自動運転にならないと、腕で何かをする意識ですぐに全身性の合気のカラダ(不安定)ではなくなる。私に限らず、塾生の皆さんもそこが大きなハードルになっているようだ。

私の意識の拡張についてはこのような変遷を経た。
腕全体に意識を広げて低反発の円柱を抱いた腕の周りに竹林があって、細い竹のしなりの反発を外から受けているイメージ。ただしこのイメージは今では少々窮屈で、中心を感じるには良いが外への広がりを感じない。そこで次のように変化した。腕が毛ガニになったように感覚毛が生えて、あたかも棒磁石の磁力線のイメージで反発を感じ、感覚をさらに拡張すると背骨を中心とした磁力線のイメージを感じることができる。すでに方向性が失われているので2元というより4元のカラダに近いのかもしれないし、背骨を通過する流れのようなものを感じているので5元(内部感覚)なの?かもしれない。腕・肩に力みがある時は、誰かに腕を押されるといちいちその力の方向に対処する反応になるが、ゴム感覚で繋げることができると入力方向が変わってもカラダの弾力性で受けることができる。これをもってカラダの繋がりの可否を確認することができると思う。また磁力線イメージは気功を行っているときの感覚に類似もしている。

最近こんな変化もあった。細かい話だが、基本1・2系(下げる・上げる変化)でゴム感覚が肩で切れてしまう事が余りにも多かった。そこで自分としては星飛雄馬の養成ギプスのように、肘から肩甲骨を通って背骨につながるゴム(バネ)をイメージして繋がりの意識を強化していたのだが、どうも当たり外れがある。そんな時、ある院生さんが「合気上げの掛かった時は肩がすぼまる」と。そこで練功のイメージを胸骨から鎖骨、上腕骨へ意識して体幹の前面内側に持っていき、肩関節と背骨をことさら意識しないに変えてみたところ、私にとっては具合が良。「含胸抜背とはこれか!」と勝手に納得。(漢文をもっと勉強しとけば良かったよ(;´д`))。「でも、背骨に意識が繋がっていないぞ?」とまだまだ模索中。

内部感覚は自分の内部の感覚であるからして、どのようにイメージしてもOK。だれに迷惑がかかるわけではない。ただ合気練功ではそのイメージが自分にとって正解か不正解かは検証が必要。各自が各自のフロンティア(迷えるコヒツジ)であることが練功の醍醐味と思う。

内部感覚についてはまだまだ表現しきれない部分もある。呟くには余りにもボリューミー。よってTo Be Continuedで。