合気練功の「軸」と呼ばれるものについて

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アメリカから遙々、練功塾に来られる方からメールでお題とともに内部感覚についての新しい視点をいただける。確認の意味もあって深く考えたことがない視点について改めて考えてみる。「もっと深い概念がそれぞれの分野・流儀にあるのだろう」ということを十分に承知で自分勝手に呟かせていただくことにする。

武道やスポーツではよく体軸について語られる事がある。
身体の運動で物理的に高効率な動きができる時に見出される、基準となる線のことと思っている。人間の体は歯車やベアリングではないので、その線を作るのは連動するマッスルベルトであるので本来はとても複雑な動きの基準線である。運動の方向性によってさまざまな軸が見て取れると思われるが、運動時の筋肉の協調性を表現する際に「軸」と総称しているのではないだろうか。
体幹の回旋では鼠蹊部または股関節を意識して動くことを教えてくれたのも、松原先生と呼ばれていたころの塾長だった(懐かしい)。私自身の背骨揺らしの自発動もよく確認してみると右足から左肩に抜ける動きがやりやすく、反対側は少し渋い。この偏差が筋の過緊張や疲労の偏りをもたらしているのであれば、操体法や整体でバランスを取ることは有意である。

静的な立ち姿については、骨格が無理なく頭部を支えている位置関係が「軸」と捉えられるのだろうと思っている。大後頭口の前縁が仙骨の上にくるぐらいで背骨がS字湾曲している感じだろうか。椎体が積み木のように約7㎏の頭部を支えていれば、筋肉が緊張し続ける必要はないが、日本人は頭部が前方に出て猫背や反り腰が多いらしい。7㎏の鉄アレイを持って「前ならえ!」筋肉はすぐにプルプルする。これを首や背や腰は長時間やっているのだと思うと部分的な凝りが生じるのも当然である。本来は存在しないものを意識して、運動を整えるあたりは合気練功と同じであるが、やはり難しいので「お尻をすぼめてお腹が凹むと仙骨が良い角度に立つ」なんて、とりあえずの整え方が様々な媒体で紹介されている。

さて合気練功の体軸についてだが、2元のゴム感覚で姿勢保持筋をはたらかせるとき、反り腰、前かがみ等、背骨が不揃いだと、カラダのゴム感覚が緩んだり抜けたりすると感じていた。よって背筋は真直ぐな軸を保ったまま、寄り掛かりにならないように体幹前面に重力がかかるというのが、不安定を内包しているカラダの状態と思っていた。しかし昨今、背骨を弓ならせる・湾曲させるなどの意念が登場してきた。背骨を繋ぐ筋の張力を用いるということで、外見上、弓なる必要はないのだが、真直ぐな背筋が必要とはなっていない。

合気のカラダがきちんとつながると、意識上で背骨を通じる線が四肢に分岐して指先まで到達していく。これが塾長のイメージで、「軸」という物理的な線はあまり意識されていないようだ。ただし、もしかしたら「そんなものは自動運転で結果的に整ってしまう。」と一蹴される事なのかもしれない。

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