虹をつかんだ男のココだけの話

虹をつかんだ男のココだけの話「日進月歩」

合気を使えるようになるには、地道な練功を積んで、合気のカラダを作るより他に方法はない。一朝一夕に達人になる事はないので、ただ単純に出来る事を少しずつ増やして、合気を扱えるカラダを作るのみである。
これは、誰にでも必要な過程であり、これ無しで、合気を獲得出来る人はいない。
なぜなら、それは、「元々持っている体の構造や動き」ではないし、「少々のアレンジや半端なマイナーチェンジ」で手に入れる事が出来る程安くもないからである。

普通の人の、普通の発想をベースにした、普通の人が可能な動きは、相手も普通の人である以上は、無意識のうちに、視覚や触覚で情報を処理されて、意図がたやすく読まれてしまう。
しかし、合気が出来る人の意図が読めないのは、体の構造の進化により、相手が視覚や触覚で処理出来ないように、情報操作を内部で行っているからである。もっと言えば、その人は、相手が触れた瞬間に合気が発動するようなプログラムを内蔵した体で、普通の人のように“擬態”しているのだ。それにより、情報が外部には出てこないので、それを見た普通の人は、自分と同じ“普通の人”と誤認してしまうのである。そして、そのまま、今まで自分が行なってきた普通の人に行う対処をするので、普通の人にとって想定外の事が起こり混乱するのである。

だからこそ、過去にも述べたように、触れた後の「結果」をいくら研究したところで何の意味もなく、触れる前に作られる「原因」の究明が必須なのだ。
その「原因」とは、当然、“擬態”した人が行なっている内部感覚の操作である。
しかし、前述したように、自力で掴めるものではない。だから、それを知っている人に教わるのだ。

かくいう私も、「原因」を教わり、たくさんの仲間と共に合気のカラダ作りに勤しんでいる。そして、塾生の全員が全員、確実に上達しているし、その上達スピードも以前より格段に上がっているという事実がここにある。

 

虹をつかんだ男のココだけの話「無駄」

前回は、合気の「基礎」の無い人間が、動画を見たところで何も得るものは無いという話をさせてもらったのだが、今回は、私がそう思う理由について述べたいと思う。

合気の現象化を見た時に、「不思議だ」と感じるのは、自分が今現在持っている頭脳や能力では解明出来ない事に驚くからである。しかし、この事実に直面しても尚、自分の経験と知識やそのアレンジで対処出来るはずと思ってしまう“挑戦者”が、かなりの数で存在する。なぜ、そのような勘違いが起こるのか?といえば、掛けている人が、自分でもマネ出来る動きしかしていないからではないだろうか?

現象自体はとても不思議なのだが、掛けている人の動き自体は、取り立てて難しい様には見えないのだと思う。だから、自分が見える範囲の光景を手がかりに、見よう見まねで試行錯誤を重ねる事になるのだが、残念ながら、寸分違わず動きを完コピしたとしても、合気が発生する事はあり得ない。

なぜなら、映像に出ている現象や人の動きは全て“結果”だからである。その“結果”だけを真似しようとしているので、自分1人の動きだけでは、当然無理がある。その無理を通そうとすれば、相手の協力や同意の下で自作自演に付き合ってもらうか、タイミングやテクニックなど、姑息な手段でお茶を濁すしかない。どちらも本物ではないという事はわかるだろう。

そして、これらが全て“結果”であると理解したなら、その“原因”を見つければ良いのだが、これもまた、絶対に無理なのである。なぜなら、その“原因”は自分が生きてきた中で経験した事がないものだからである。存在自体を知らないから思い浮かばないのである。

人間が導き出せる答えは、自分の知識と経験に基づいているので、目の前で起こった事象を、自分が知っている常識の範疇に落とし込んで考える。だから、動画を見た時に、体の動かし方や動かす角度やタイミングなど、“普通”の発想しか浮かばない人は、その時点で、動画で合気を習得しようとするには経験値が足りないのだ。

合気の現象が起こる“原因”として“意念”や“内部感覚操作”といったものが使用されているのだが、普通の人生を送ってきただけでは、体験することも出来なければ、知る機会さえもない。だから、知らないのは当然で、見えなくてもしょうがないのだが、誰かのお金と時間の無駄になるといけないので、この機会にお話しておこうと思う。

虹をつかんだ男のココだけの話「基礎」

合気の書籍や動画などがこれだけ溢れている世の中で、運悪くそれを見たばかりに志願者となり、そのまま為す術なく難民に移行してしまう。という、見るも無惨な現実がある。
この原因として、指導者の能力・資質・姿勢の問題があると前回述べさせてもらった。
訪れる者は、合気の“仕組み”を知りたくて、それを教えてもらいに来る。しかし、訪れた先は、教える気も能力もない。ここを訪れた者は不幸にも、「自分は、教えられたことも出来ない能力の低い人間だ。」と、しなくても良い後悔をして諦めざるをえない。
だから、指導者選びは、とても重要ですと。

そして、ついでに言いたい事が浮かんだので今回述べようと思う。それは、そもそも書籍や映像で合気を掴めないという事である。
合気が掴めるなどと謳っている高価な本やDVDをよく見かけるが、未経験者があれを見ても何一つ出来るようになる事はない。なぜなら、未経験者には合気の基礎が無いから。

私達が日本語を使えるのは、長年日本語の教育を受けて来たからである。幼少から知らず知らずのうちに、喋ったり、聞いたりして言葉を覚え、読み書きなどの基礎訓練を経て、数年の時間を費やして、やがて不自由なく操る事が出来るようになる。
一方、日本語の無い環境で育った人間が、比較的短期間で日本語を覚えようと思った場合は、日本人の子供のように、トライアンドエラーを繰り返せる時間も無ければ、いつでも間違いを指摘してくれるというような環境も無い。だから、最初に覚えるべきは、五十音の種類であり、そのルールである。それで日本語を作る事を覚え、その人の母国語と互換する事で習得していく。まず、平仮名を理解し、使いこなす事が一番初めにする事、基礎なのだ。

何でもそうであるが、基礎が無いとそれ以上の知識や技術は積み上げられない。基礎の無い人間に応用は何の役にも立たないのだ。
音符や音階を知らない人間が、教則本を手に入れたところで、ピアノは弾けないし、九九を知らない人に数学の参考書を与えても数式は解けない。そんな事は、誰でも知っている事で、下地のない人間が、ピアノや数学に興味を持ったとしても、いきなり教則本や参考書を手に取るというのは、まさに“狂気の沙汰”でしかない。
これらは、最初に結論ありきで作成された物なので、「夢が叶う」という結末が決まっているだけで、逆算して行っても、出発点は未経験者ではないのだ。言ってみれば(基礎を済ませた)人を選ぶ代物で、素人には無用の長物という事になる。
基礎の無い者にとってこの類いの映像は、自己投影したり、感情移入したりして楽しむ、アーティストのライブ映像や映画のような鑑賞用娯楽作品と何も変わらないのだ。だから見て楽しむ分には構わないが、習得したいのであれば、その前に他にやるべき事がある。

これらの理由で、合気系の書籍や映像に「誰でも出来る」とか「素人でも大丈夫」などのニュアンスがあるものは、詐欺とは言わないまでも、作成者には未経験者に対して「出来るようになって欲しい。」という意図が皆無な事だけは確かである。

虹をつかんだ男のココだけの話「判断基準」

3点バランスとは、松原塾長が合気を行っている際の内部感覚であり、そして、塾長自身が名付けた名称である。
当然、合気練功塾でしか使用されていないし、教わる事も出来ない。
しかしながら、これが、合気の本質であるので、このバランス状態に入れば、誰でも例外なく、いわゆる“合気モード”に入る事が出来る。

だから、合気練功塾では、合気の“タネ”や“仕掛け”を教えているという事になる。

合気の存在を知り、憧れて、習得を目指す人間のほとんどが、志半ばで諦めていくという、動かし難い現実がある。
これは、巷に蔓延る、合気習得を謳うセミナーや道場が、訪れた者から、お金や時間だけでなく、憧れや意欲も根こそぎ奪い取ってきた事に対する当然の結果である。
このような悪質な団体が乱立しているので、選ぶ方も本物と偽物の区別がとても難しい。
十分に注意していただきたい。

夢や意欲が喪失するのは、対象獲得への可能性が無くなるからである。
「ここにいても合気を掴むことが出来ない。」と悟るのである。
そして、その結論に至るのは、合気を獲得している自分自身の姿を思い描く事が出来なくなってしまったからである。
そして、自分の無力さや無能さを嘆く事になる。

しかし、今一度、よく考えて欲しい。

おそらく、「ここにいても合気を掴むことが出来ない。」と悟ったあなたは、そこに習いに行っている時、「ここでなら合気を掴む事が出来る。」と一度でも思った事があるのだろうか。

習いにいく前には感じていた可能性を、習いに行った後に感じなくなるのは、その可能性を奪った奴らが悪いのであって、あなたは何も悪くないのですよ。

体験で受けた技術は、勿論教えてもらえると思いましたよね。
当然です。
あなたの考えは、何も間違っていないです。
ただ“場所”が悪かったのです。

あなたは、無力でも、無能でもないのです。
不幸にも、無力で無能な者に惑わされてしまって、可能性が開花していないだけなのです。

手品師になる夢を持ったあなたは、手品の“タネ”や“仕掛け”を教えてもらいたいのですよね?。
でも、おそらく、その手品師は、通っても通っても、自慢げに手品を披露するだけで、あなたは、一生、それの盛り上げ役で終わるのですよ。

私個人の感想ですけど、合気を上達させてくれる組織って、習ったその日、参加したその日に判断できますよ。

ただ単純に、「ここでなら合気を掴む事が出来る。」ってしか思わないんで。
なぜか、自分が上達していく光景や道筋がはっきり見えるんですよね。
そして、時間が経てば、それが思い通りに実現していくんですよ。おもしろいですよ。
だから、「ここにいても合気を掴むことが出来ない。」なんて思った事もないです。

そんな感じで、今、私はここにいます。

虹をつかんだ男のココだけの話「正解を知る」

本物の合気習得のためには3点バランスの理解と獲得が必要不可欠である。

それによって得られるものは何か?というと、合気が掛かるバランス時に発生している内部感覚である。これは、塾長の感覚を抽出したものであり、それをわかりやすく言語化し、誰とでも共有出来るようにしたものである。つまり、合気の本質である。

 

この内部感覚が入っていれば、相手と触れた瞬間に、その相手は、自立出来なくなる。理由としては、元々2人で成立しているバランス状態なので、1人でいる方が“不自然”であり、繋がる相手がいて“自然”な状態になる。だから、自動的に相手を巻き込んでバランスを取ってしまうのである。

触れられたら一瞬で相手は、(自分では自立していると思っているのだが)強制的に“超バランス”状態に入れられてしまうのである。この時に、必然的に相手との同調が成立しているので、相手は、“金縛り”状態になってしまう。

また、合気を練功するにあたり、元(段階)が上がって、動力が変わっていっても、根底の3点バランスは不変である。

しかし、元が上がるにつれて繊細な感覚が必要になる。3点バランスの形を作るために大きく動いていては、その勢いで“超バランス”状態が崩れてしまう。体は動かさずに、普通に突っ立っているような状態から、瞬間的に意念だけで、相手が驚くような変化を起こすのが上級の証となる。今まで現実を支配していた“触れている”という「物理空間」を“超バランス”の「情報空間」が凌駕した事で“超常現象”を起こるのである。

 

そして、3点バランスを習得するための方法は、まずは、体勢を作るより他に無い。そこから、内部で起こる現象を覚えるしかないのである。

しかし、ここで1番重要なのは、今、記述したように易々と手に入るものではないという事だ。元々1人で作れる体勢でもないし、神経を研ぎ澄ませて初めて掴める様な、微かな一点の感覚なのだ。だから、正解を知っている人は限られているのだが、その人に正解を教えてもらうしかないのだ。

そして、本物を感じて捕まえて、その感覚を繰り返して擦り込むより他に道はない。