虹をつかんだ男のココだけの話

虹をつかんだ男のココだけの話「来年へ向けて」

第四回全国合同強化合宿が9/28、29に豊橋市で行われた。
テーマは「設立10周年記念合宿への第一歩、百人の楽しい達人集団実現に挑む」という事で今回は、北海道から九州まで総勢50人の方々が参加された。

来年は、合気練功塾旗揚げ10周年という事で、盛大に記念行事を取り行うという事、中でも、その目玉として、100人を超える参加者全員による合気揚げの披露を行うという事が報告された。
今回は、まさにこの目標実現を可能にするための“種まき”として入念な事前準備の意味合いもあり、各地から集まった有志も真剣に課題に取り組んでいた。

まず、実技は3点バランスを使った合気揚げの方法とその時に起こる内部感覚の獲得を目指した。
そして、今回は基本、初級、中級の課題があったのだが、クリア出来たかどうかを院生に一人ずつチェックしてもらい、合格を貰えないと次に進めないシステムであったため皆必死で取り組んだ。
最終的には既に合格した者が、まだの者にアドバイスをする形で、全員で協力し合ってステップアップする事が出来た。
そして、夜には毎回恒例の班別による話し合いも行われ、限られた時間の中、色々な意見が出された。
その後は、いつものように懇親会が行われたのだが、その中でも、各班の代表者が“熱い想い”を語る演説も行われ、さながら、来年の行事への決起集会のようで、成功させるために参加者一同が一丸となれたと思う。

私も、来年参加する者として、技術向上はもちろんの事、誰もが参加しやすい、楽しい環境作りに少しでも貢献したいと思う。

虹をつかんだ男のココだけの話「目的に達成するための方法」

合気を掛けるためには、相手が足だけで立っている状態をやめさせる必要がある。
手が自由に動くので、その手を使って全て処理をされてしまう。
そして、これは人間が普通に取り得る行動様式なので、ほぼ万人に当てはまる。
生まれて生きてきた中で、反復し習得してきたもので、考えるよりも早く反射的に体が動いてしまうのだ。
だから、目的を達成するためには、相手を「足だけでバランスを取れる状態」から、「手も使わなければバランスが取れない状態」へ移行させなければいけない。
すなわち「手の無力化」が不可欠なのだ。

そして最近、ここ合気練功塾では、人を選ぶ事なく「手の無力化」を可能にするメソッドが導入された。
それは、首、手首、足首の3点をゴムで繋げた、練功塾の専売特許である「3点バランス」を使用する事で可能となる。
やり方としては、まず、第一段階で、自分の足と相手の足が繋がるようゴムを引く。
第二段階で、相手の引きで自分が前に飛んで行ける位の弾力を感じるようさらにゴムを引く。
第三段階では、さらにゴムを引きながら、それに乗じて自分の足にある重心を手に移動するのだ。
すると、自分と繋がっている相手にも手の方で重心を支える必要が生じ、そのバランス維持以外には手の機能は使えなくなる。
この三段階で連続してゴムを引き、その弾力を徐々に強化していくことで「手の無力化」が成立する。
やる事は単純で、たったこれだけ簡単な手順で目的が達成出来るのだ。
夢のような話だが、本当の話である。
もちろん、ゴム感覚や3点バランスは必要不可欠であるが、練功塾塾生なら標準装備しているので問題はない。

虹をつかんだ男のココだけの話「合気揚げ」

自分自身のレベルアップのために、合気に興味のない人に合気揚げをさせてもらう事がたまにあるのだが、すぐ揚がってくれる人もいれば、まるで変化のない人もいる。
合気揚げは、相手に力を出してもらい、その力で相手自身が上方向に伸びる現象である。
だから相手に力を出させる事が現象化を起こす絶対条件という事になる。
変化のない人というのは、自分で力を出そうとしない人なので、そのままでは、手が触れていても、永久に合気揚げが成功する事は無い。
合気揚げが起こる“動力”が発生しないので当然と言えば当然である。

で、この時の対処で、その合気が「本物」なのか、そうではないのかが分かる。
手首や肘などを不自然に動かして無理矢理上げようとする、または、相手を煽るなどして強く抑える事を強要するなど、相手の意に反する行動を取ろうとする場合は、全て「偽物」である。
「本物」の対処は、「相手の“無意識”に働きかけ、相手が自然と力を出さざるを得ないシチュエーションを作る。」のだ。

相手が自分の手に触れているのに、力を入れないで立っていられるのは、相手の重心が100%足にあるからで自立出来ているからである。
他に頼る必要がなく、一生このままの体勢でいる事が可能なので、相手から動く必要性が全くない。
この状況を打破するために、「本物」は、相手が気づかないウチに足にある重心を手に移させるのだ。
そうなった時、万全だったはずの足元が不安定になり、その不安定さ嫌って、触れていただけの手にしがみ付くしかなくなるのだ。
このしがみ付く状態に相手を持ち込めた時、相手は力を出さざるを得なくなり、“動力”が発生する。
そして、しがみ付いた手は、しがみ付く事で手の機能を全て使ってしまうので、足で自立している時のように手だけを自由に使う事が出来なくなる。
そして、その無力化された手を支えにして体を浮かされている状態になるので、その手を上に動かされれば、体も揚がる(伸びる)しかなくなるのである。

虹をつかんだ男のココだけの話「第三回全国指導者講習会」

2024年6月29(土)~30(日)指導者講習会が行われた。
札幌から福岡まで総勢40名の人達が愛知県豊橋市に集結し、皆で協力しながら、今回も課題に取り組んだ。
実技としては、寝ても、座っても、立ってもと、どのような体勢でも一瞬で相手と繋がる“感覚”を再現出来るようになるため、相手を変えながら繰り返し練功し、ほとんどの人がその感覚を取れるようになったのではと思う。

今回で数十名の人間が繋がる感覚を持つ事になった訳だが、こんな組織はおそらくここ以外にはないだろう。
そして、この合宿では、惜しくも習得までいかなかった者も、感覚自体は知っているので、一緒に参加した仲間と練功を積めば、近い将来習得出来る可能性は高いし、この合宿で作り方や伝え方をマスターした人達が各地にそれを持って帰るため、合宿に来ていない人や、まだ塾に入っていない人でさえも、言われるがままにやるだけで、半年もかからず掴めるようになるのではないだろうか?

一泊二日の短時間で何十人もの人間に、絶対的な“感覚”を伝えるというのは合気練功塾以外では無理である。
“感覚”は、人によって違うので、個人の自由に任せると、感じ方は人の数だけ出来る事になる。
だから、制限を掛けていき、フォーカスすべきポイントや、本質だけを抽出しなければならない。
指導者しか“感覚”がない他の組織では、それが伝達出来る状態にないため、誰も拾えないのである。
重要な事を取捨選択出来ないので、習っているつもりでも、何一つ身にならなのだ。
だから、「何年経っても出来る人が出てこない。」という結果は必然なのだ。

今回、満を持して、塾長が“感覚”を誰にでも認識出来る状態まで分解し、パッケージ化したメソッドが解禁された訳であるが、これが各地に瞬く間に水平展開され、すぐに塾生の常識となり標準装備される。

「鬼に金棒」である。

虹をつかんだ男のココだけの話「勘違い」

先日、練功塾で緊急の課題として、周知徹底された事がある。
塾生のほとんどが勘違いしていた事で、もちろん私も例外ではなかった。
それは六元のゴム感覚の作り方で、この感覚を出す時、私は腕を伸ばして作っていたのだが、本当は広背筋を伸ばすのだという事を教えてもらった。
私は、「手が硬い」とか「手が出てる」とよく言われるのだが、その原因の一つは、これにあるのだと思った。
この作り方だと手と胴体が分離しているため、相手の重みを全て手だけで受け止める必要がある。
支えとして手を使わなければいけないので、相手は手の存在を容易に感じる事が出来て、対処され易くなるのだ。
それに対して、広背筋は背骨に連結しているので、手で受けた影響をそのまま体幹まで伝達する事が出来る。
つまり、相手の重みを直接体幹で支えるため、手は支える必要がなくなり存在を消す事が出来る。

塾長は、「手を手として使ってはいけない。前足として使う。」といつも仰っているし、
合気練功塾の習得プログラムにも、六元=“四肢をゴム感覚で繋げる”と明記されている。

しかしながら、手を独立して使う事に慣れている私たちは、四肢と体幹を繋ぐ技術がある事など知らないし、そもそも胴体と手を連動させる必要性を感じていない。
だから、自分の出来得る範囲で、自分の考え得る範囲で、“今の自分”にあった方法を選択してしまえば、手と足と胴体を同時に伸ばしているだけで、“四肢をゴム感覚で繋げる”とは似て非なるものにたどり着く危険が多々ある。
今回の件が良い例だが、私が合気を習い始めて今までに、「一度の説明で理解出来たと思ったが、実は理解した“つもり”でしかなかった。」と後に判明した事は枚挙にいとまがない。
そして、自力でそれに気づける可能性もほぼない。
勘違いしている人がいる時、何度も説明してくれる存在、気づかせてくれる環境があるという事が非常に重要なのである。