虹をつかんだ男のココだけの話「所変われば品変わる」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

私が合気について何も知らない頃、動画で合気上げを見ていると、上げている人は皆自分の腕を手前に引きながら上げていた。自分も出来る様になりたいと思い、いくつかの道場やセミナーを訪れた。そして、詐欺被害に遭ったのは、何度か書いているので、ご存知の事と思う。行った先々で行われていた合気上げも動画と同じやり方であった。だから、私も同じ様にやってみるのだが、当然、一度も上がる事はなかった。

そして、私を混乱させたのは、その時に言われる「引いてはダメ。」という言葉であった。何処からどう見ても引いているのに、「引いていない。」と言われ、一時は科学的な発想を通り越して、頓知的な領域まで思考をこじらせる羽目になった。
そして、それ以上に私が驚いたのは、そこにいる人全てが“引いている”様に見えるのは認めるだが、何故そう見えるのか?の理由については、「知らない」人と、諸般の事情により「説明出来ない」人の二通りしか存在しないという事実であった。もうお手上げである。謎が解けるはずもない。

しかし、縁あって合気練功塾にお世話になると謎は簡単に解けた。“引く”のではなく“頼る”のだという事を知るのだが、塾生のほとんどが当たり前のように知っていて、誰に聞いても気兼ねなく教えてくれるので、聞いているこちらが拍子抜けしてしまうくらいだった。

実際、昔の私のように、不慣れな人から見れば“引く”も“頼る”も外見上は同じに見える。では何が違うのか?

重心が足の上に有るか無いかの違いである。重心が足の上に有る時に腕を手前に動かした場合が“引く”であり、重心が足の上に無い時に腕を手前に動かした場合が“頼る”である。

“引く”は対象物が無くても、その動作を行う事は可能であるが、“頼る”は対象物が無いと、文字通り“頼る”事が出来ないため重心が床に落ちて転倒する事になる。

つまり、“引く”は足下が安定していなければ成立しないし、“頼る”は足下が安定していたら成立しない

だから、合気では、不安定が必要で、不安定である限り、いくら見た目で引いているように見えても「引いてはいない。」のだ。

合気練功塾ではこれを“手と足の機能の逆転”と教わるのだが、普段足で取っているバランスを手で取らざるを得ないような状態になった時に初めて、合気の世界に入る事が出来る。

そして、この状態を一瞬で作り出す事が出来るメソッドも3点バランスを置いて他に無いのだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA