神谷の呟き

合気練功 足裏の要素 その2

合気練功の原理1「足裏感覚」がある。
前回に引き続き私が確認できる足裏要素を認めていきたい。

②  「相手の足裏へ繋げる」
自分自身のカラダが足まで繋がったら、次は相手のカラダのこと。
武術経験のある方が相手のカラダを意識することは比較的ハードルが低いと思われる。
相手の接触を捉えて僅かに重心をずらせば相手は倒れたくない反応で踏ん張る。または肩に手を当てて下方向に圧を掛ければ当然姿勢保持をしようとして足で耐える。単純に足に繋がるはこれでもOK。しかし、接触時に相手が足底のどの辺で立っているのかを受容するのはそれなりの練功が必要であったように記憶する。
合気練功では接触時に僅かにずらすことを行う。この「僅かに」のところがミソで、相手が気付くようなずらし方では相手の脳のコントロール下にすぐに取り戻されてしまう。足が次がれて立ち直られるか、危ないなと感づかれたら力を抜いて体幹部に伝わらないようにする。反射スピードの勝負になっては凡人には勝ち目はない。
相手の意識に上らないように「僅かに」ずらすことと、「僅かに」を自分の操作として実感できるようにすることが、より多くの人と繋がれる練功の方向性と思う。

追記
最近、相手の意識に上らないという点で、「相手の心地よさ」というのも重要な要素であることを再確認することがあった。もう少し纏まったら報告しようと思う。

とある塾生の雑記 その8 裏の力で関節に圧をかける

とある塾生の雑記その8 裏の力で関節に圧をかける

女性や子供は関節が柔らかく筋肉量も少ないので、雑に扱うとうまく体を繋げることができず、合気をかけられないことがあります。
大抵はこちらの力が強すぎることに原因があるのですが、このような時に裏の力を使って繊細に相手の関節に圧をかけていくと、腕と体幹を一つの塊にすることができ合気がかかります。今回は、娘二人を練習相手に悪戦苦闘した圧のかけ方についてお伝えします。

現在、合気練功塾では基本1系を以下の4つに分解して練功を行なっています。
① 足裏を感じるまで、肩関節に対し上方向へ軽く圧をかける
② お互いに引っ張り合う「ここ」のポイントを作る
③ 遠心性の収縮を使いながら腕・肩・体幹を伸ばし、足裏をさらに強く感じる
④ 斜め懸垂の要領で、相手の重心を数ミリ移動させる

まず、圧のかけ方には「陽圧」と「陰圧」の2種類があります。①の場合は相手と接触した時に、下肢と体幹で姿勢を正すようにして肩関節に対し「陽圧」をかけます。この時、肩関節にかかる圧の力は自分の足裏を感じることができるだけの最小限にとどめます。
②は両足の指でしっかりと大地を掴みながら臍下丹田を斜め上に傾ける要領で腸腰筋を収縮させて、お互いに引っ張り合う関係を作ることで肩関節に対して「陰圧」をかけます。裏引っ張られた肩関節は組織(靭帯)の復元力により自ら肩関節への圧が高まり腕と体幹が繋がります。

最初の頃は、自分の形を作るだけで精一杯であったため圧が強すぎてしまい合気がかからず力技になっていました。「相手の力以上の力はいらない。」「皮一枚とる圧だけでそれ以上かけちゃ駄目。」色々とアドバイスをいただいたものの、なかなか娘を攻略することができずにいたのですが、ある時、赤ちゃんに触れるくらいの優しい力で繊細に行うと次女に合気をかけることができました。改めて力ではないんだなと実感した次第です。さあ、残るラスボスは長女です。まだまだ修行の日々は続きます。

合気練功 足裏の要素まとめ 

足裏の要素のまとめ

合気練功の原理1「足裏感覚」がある。
合気練功塾の合気の繋がりを理解するために、基本・原理の視点での確認は有意であろうから、徒然に「足裏」に関係しそうなことから認めてみたい。

「足裏へ繋げる」その1
私にとって、相手の圧を使って自分の足に繋げることは難しい課題であった。
相手の圧に対して手・腕で反作用することは容易い。加減して圧を返し、つり合わせるのは練習すればできると思う。微妙に圧力を感じるとその刺激に対して反射的に筋が働いてしまい「手を離せばいいのに離せない」などの現象はこの辺が入り口であろう。微妙さ加減が習熟度ということになるのか。ただし、小器用に手で操作していると言うことは手で対応されると言うことで、全身で対応している訳ではないので、合気の繋がりとしてはダメである。
相手の姿勢保持に影響を及ぼすには、自分の足まで繋げて全身での操作が必要という階段になる。そこで相手の圧を足で感じると言うことになる。どこかに力みがあって固まった関節があると足までその圧は伝わってこないので、各関節を柔らかく…、となる。力が抜けてフニャフニャではもちろんいけないので、この柔らかさ加減がゴム感覚。
相手より大きな力を出してしまうと相手が気付いて対応することができるため、力加減は小さい方がよい。相手の出した力で足まで繋がらないといけないので、相手≧自分の力>0の関係。ここで、自分のカラダが繋がっていれば相手のカラダを繋げるだけなのでタイムラグは小さくなると思われる。
今回は「自分のカラダについて足裏へ繋げる」であった。次回は「相手の足裏へ繋げる」でいきたいと思う。

合気練功はいくつかの螺旋階段を同時に上るようなイメージである。あたかもDNAの二重螺旋の雰囲気である。同じ課題を他の要素との複合でさらに精度を上げていく作業である。以前も足裏感覚について記述したことがあるが、読み返してみると変化が感じられる。表現がどんどん難しくなるのも感じている。ぼちぼち確認作業を進めていきたいと思う。

合気練功 共感力と多様性

合気練功の主眼は「相手と繋がる」ことであろう。
「繋がっている」状況を理解できればようやくそこに至る練功のスタートが切れる。
でもその繋がっている状況を感じる・理解するところから難しい。まずは繋がりのオン・オフから、大きな変化を感じてもらえればと思う。本当は案配良く・ちょうど良くの操作感覚でないと上手く繋がれないヒトが出てくるが、グレーゾーンの感覚はなかなか理解も実践も難しい。
練功塾では塾長の持つ「繋がるための勘所」を幾つもの表現でアドバイスされている。分かるヒトにだけ分かればよいと言うことではなく、皆さんに広くこの感覚を味わってもらいたいと言う考えからであろう。各言、このブログも「表現の多様性から気づいてもらうことができれば」を目的にスタートしたのであった。

先日、合気練功塾にブラジルの方が入会された。当日の朝、塾長から「神さん、相手を頼むね。」と言われた。ではまず背骨揺らしから…と説明を始めたのだが、日本語が通じにくい(通じないに近い)。まあ、今までもメキシコやカナダからの留学生を武術指導した経験もあるし脳味噌を切り替えてと、英単語の羅列の説明(けっして英語で説明したわけではないですよ)を開始したのだが、これがいけなかった。その方はスペイン語、ポルトガル語が母国語であり英語は分からないのである。英語でコミュニケーションをすれば…と最大限の努力のつもりだったのだが、私の先入観が相手にとって失礼な行為になってしまった。
「私にとっては、あなたはアジア人だ(と言っていたと思う)。」という言葉で気づかされた。
「分かりました。日本語でいきましょう。」
ひらがなとその方なりのローマ字筆談を交えて、「ねじり、NEDIRI」とか書きながら説明をおこなった。その方曰く、英語のローマ字ではないのでNEZIRI、NEJIRIではないのだそうだ。

共通言語を持っていてもその感覚を伝えることに苦労しているのに、感覚の説明をどうしようかと、内心不安を感じながら「足裏感覚」の練功を始めた。相手の触れている圧を足へ繋げる「これは腕、これは足。」と違いを示しながら感じてもらったところ「ああ、分かった」と。でも、やってみましょうとなるとやはり何か過不足がある。その部分を説明するに、またもや言葉の壁。ここで残念ながら私が東京の練功倶楽部へ向かう時間となったので、これまでとなったのだが、練習の最中に「あなたは良い先生だ」とも。ありがたや。何かいろいろな意味で勉強となった1時間であった。

コミュニケーションには一方的ではない双方の歩み寄りが必要である。合気の繋がりと同じと言って良いと思う。相手が忖度しないとならない繋がりは純度がまだまだであろう。よかれと思っても相手のカラダの状況は刻々と変化する。全部含めて繋がる感覚の共有ができれば、下手に共通言語があるもの同士よりも、「にやり」と意思疎通できる練功が楽しめるかもしれない。

年内のブログのアップは今回がラストです。おつきあいいただきありがとうございました。
良い繋がりを目指して修練してまいります。
皆様、良いお年をお迎えください。

とある塾生の雑記 その7

とある塾生の雑記その7 「ここ」とは?

最近、練功塾では合気がかかる瞬間の「ここ」というポイントを如何に早く作ることができるかを練功しています。今まで合気練功のための修練体系である合気のカラダや合気の原理を通して一つ一つ過程を確認しながら合気の疑似体験していたものを、本当の合気にするための一つの大きな転換点とも言えます。今回は、この「ここ」についてお伝えします。

柔らかな接触で相手の皮膚の遊びをとり、相手に察知されないレベル、あるいはもし仮に察知されても不快な感覚を与えないレベルの弱い刺激(裏の力)で相手の関節を詰め、筋肉を緊張させて一つの塊にし、二人で一つの重心を作るポイントが「ここ」です。この時接触点を通して私自身も合気がかかった状態になっているため、「ここ」とは自分に合気がかかるポイントとも言えます。

練功法は、ドアの取手に指をかけ体を繋げて背中のゴムで後ろに引っぱられながらも踵をあげます。「ここ」の感覚が身につけば踵をあげずに足の指で大地をしっかりと掴み重心を数ミリ前に持ってきます。今までは、相手を上げようとか下げようとか、手元の操作に感けて腕に余計な力が入ったり、腕だけでその関係性を作ろうとしてしまいがちだったのですが、接触した相手の力を借りながら背中と足を使って自分自身に合気をかければ、結果的に相手にも合気がかかります。合気の妙技の秘訣が「ここ」に隠されているのかなと思う次第です。