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虹をつかんだ男のココだけの話「意念」

合気には、弾力が必須で、そのために、まずはゴム感覚を作り、操れるようになる事が必要である。

ゴム感覚は、誰にでもあるモノなのだが、普通に生活する分には特に必要のないモノなので、普段の生活で会う人達は、まず持ち合わせていない。だから、我々の思考回路でゴム感覚に行き着く事もなければ、縁あった人に偶然おしえてもらえる事もない。普通は知らなくて当然のモノなのだ。

 

しかし、合気に於いては、無いと始まらないモノである事は確かで、だから練習して手に入れるのである。やり方としては、手の平同士をくっ付けたり、離したりする事を繰り返して、手の平の間にゴムが発生するのを感じる事から始める。

このゴム感覚は、先述した通り、誰にでもあるモノで、誰にでも発生するのだが、初めての発生を感じるのにすごく個人差がある。短い人は数分で感じるのだが、長い人は数日、数週間かかったりする。

この差はいったいどこから来るのだろうか?答えはその人が持つイメージの差であろう。「手の平の間にゴムがある。」と本気で思えるかどうかの差である。ただ単純にくっ付けたり、離したりを繰り返したところで、そこにゴム感覚が発生する事はない。そして、この時にその動作を行うより大事な事がある。それは、「手と手の間にゴムがある。」と強く信じ込む事である。

元々何もない空間にゴムを発生させるには、単にイメージ上でゴム思い描くだけでは、不十分なのだ。

なぜなら、現実世界で輪ゴムを拾った場合、そのゴムを引っ張れば伸びるし、その状態を解放すれば勝手に縮む。ところが、イメージ上で引っ張ったゴムは、勝手には縮まないのである。実物のゴムは伸ばせば縮むという性質を元々持っているが、イメージ上のゴムは伸ばせば縮むというイメージは自分が付けなければ持たせる事が出来ない。逆に言えば、引いて縮むからイメージしているモノがゴムであると脳が認識するのであって、引くしか出来なければ、脳は弾力のない紐としてしか認識出来ないのだ。だから、ゴム感覚を発生させる場合には、ゴムのイメージにゴムの働きを付帯させなければならない。これがイメージ力を向上させる“肝”なのである。

 

この実感を伴うイメージの事を“意念”という。合気の現象化、上達において、この“意念”の獲得、強化が重要である。

虹をつかんだ男のココだけの話「思考の次元」

合気練功塾に通う様になって、数年が過ぎた。ここに来る前の自分と比べると、格段に成長しているのが分かる。合気に興味の無い人にまで現象化が可能になって、満足いく日々を送る今日この頃である。最高の出会いに感謝。

しかしながら、合気を知らずに送って来た人生の方がはるかに長いので、習慣化された思考や行動から抜け出す事が出来ずに、足踏み状態が続く事もよくある。自分が「間違いない」と思い、練功し続けた事が全くの思い違いで、一向に上達が見られない時期を過ごす事も未だに多い。そんな時、ここでは、塾長や先輩方に気づかせてもらえるので、すごく助かる。
また、これら“気づき”は気づいてしまえば、他愛のない、至極当然の事である事ばかりで、自力で気づけない自分に悔しい思いをする。
しかし、それは、順を追って説明を受け、現象を実演してもらう事によって、今までの常識が覆り、新しい常識を受け入れる事が出来てこその結果なのだ。そして、常識が上書きされたときに発想の土台も変わるために思考の次元も上がるのだ。

例えば、合気のカラダには“弾力”は欠かせないので、私達は体の中のゴムを引いた状態でいる。それを開放したら、今いる場所から飛んで行ってしまうのを我慢しながら、普通に立っている様に振る舞っている。(ちなみに、合気練功塾では、常時「飛べますか?」が合言葉である。)
しかし、最初から、この状態を作れる人はまずいない。なぜなら、一般の人の体の中にはゴムは存在しないし、作れるとも思っていないからだ。これが思考の次元の違いで、すでにゴムの存在に気づいている人は、それからの応用も簡単だが、気づいていない人にとっては、余程の奇跡がなければ、偶然であってもゴムが発生する事は無いし、万が一発生したとしても、受容出来る感覚も無いし、再現出来る理論も無いので、ゴムを使用可能という認識に行き着かないのだ。

ゴムの存在を知らないという事は、合気において、“詰んでいる”。なぜなら、“筋力有き”のベースで思考が堂々巡りするだけだからだ。そして、その八方塞がりの無限ループを突破出来るのは、過去に突破した事がある者で、確実に突破する方法を身に付けた者だけだ。そんな人を見つけて、教えを乞うのが一番の近道である。