虹をつかんだ男のココだけの話「飛べる 2」

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合気に飛べる感覚が必要であるのは、そこに発生する弾力が相手を動かす動力源となるからである。
弾力を自分側に使えば、自分が動くし、相手側に使えば、相手が動く事になる。
また、自分に飛べる感覚が発生している場合、相手も同じ感覚が発生している。
自分の足裏から相手の足裏まで通したゴムを引き合うことで発生するので、お互いがそのゴムに頼りながら一つの物体として立っている状態になっている。
そして、合気の現象化が起こっている場面は、手や腕などの接触点に影響を与えて事を起こしているように勘違いしがちであるが、実際は、相手の足までゴムを張り、自分の体の中でゴムを伸ばしたり、縮めたりしながら、相手を足元から揺さぶり、バランスを崩させて、自分の手にすがらせている状態なのである。
そして、飛べる感覚が発生しているということは、相手と足までゴムで繋がっていて、そのゴムでお互いの重心を上げながら体を浮かせているので、内部に弾力が発生していて、尚且つ、居着いていない状態といえる。

しかし、この飛べる感覚は作るのは簡単なのだが、維持するのがとても難しいのである。
知っている人に教えて貰えば、誰でもすぐ出来るようになるのだが、すぐに忘れてしまったり、飛べると感じる体勢を作ったものの無意識に飛べない体勢に戻ったりしてしまい持続するのがとても難しいのだ。
これには、切実な理由がある。
というのは、二足歩行をする人間としての本能が体勢の不安定さを許さないのである。
通常、人が立っているときに重心は、両足の足裏とその間の部分にある。
そこから外れると転倒してしまうので、絶えずその面に納めて行動するように習慣付いている。
重心を面から外さない事が訓練され過ぎて無意識化してしまっている為、飛べる体勢を作ったとしても、気がつけば、重心が戻ってしまっていたり、そもそも、飛べるほどに重心を外せていなかったりしてしまうのだ。
だから、その習慣から脱却するには、飛べる感覚が無意識化するほど刷り込む必要がある。

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