2023年 5月 の投稿一覧

Tスタイル ~合気練功の日々~「今、ここ、自分」

 皆さんもご存知のように、メジャーリーガーの大谷翔平選手の快進撃が止まりません。
 WBC(ワールドベースボールクラシック)では、投打に活躍し、日本代表チームの優勝に貢献し、MLB(メジャーリーグ)でも、チームの中心選手として抜群の存在感を放っています。
 インタビューでは、「君はどこの星から来たのかい?」と聞かれていましたが・・・

 実は大谷選手の思考の仕方には、ある特徴があるのだそうです。
 ある時のインタビューで、大谷選手はこう言っています。
「一流のピッチャーになるんだとか、一流のバッターになるんだとか思っていたわけじゃない。いいバッティングをしたい、いいピッチングをしたい。いつもそれを望んできました。」
 また、ホームランについて聞かれると、
「ホームランを狙うということはなく、良い角度でボールに当てるというのが一番。」
 
まさに、「今、ここ、自分」に集中し、心に揺るぎがない状態をつくり出しています。心理学では、この状態を「フロー」と呼ぶそうです。

 練功の場面に当てはめてみると、
「相手の腕を上げるとか、下げるとかではなく、相手と一番良い状態でつながりたい。その為には自分と相手の身体の状態(内部感覚)をどうすれば良いのか。」
とでも言えばよいのでしょうか。

 また、大谷選手が愛読していた「運命を拓く」の著者である中村天風氏は、「心も身体も道具である。」とし、「力を入れることに重点を置かずに、力を働かすことに重点を置く。」と述べています。
 私は、この文章を読んだ時に、(持病の副鼻腔炎の手術を控え、心身ともにやや不安定だった)自分の心がすーっと晴れていくような爽快な気分になりました。

 なかなか練功が進まない時や、壁にぶつかった時、「今、ここ、自分」に集中できるよう、心と身体を研ぎ澄ましていきましょう!

今月の名言

数ある同僚の中から抜きん出て偉くなる人は、結局、偉くなるべき資格をもっているのです。その資格とは、「誰にも言われなくても、日々毎日、実際に努力している」ことなんです。
中村天風

人間が人間として生きていくのに一番大切なのは、頭の良し悪しではなく、心の良し悪しだ。
中村天風

笑っている時、人間は最も強い。
中村天風

そう言えば、副長はいつもニコニコしていますね。やはり、最強(最恐?最凶?)合気職人ですね。
  
KENTA

 

虹をつかんだ男のココだけの話「無駄」

前回は、合気の「基礎」の無い人間が、動画を見たところで何も得るものは無いという話をさせてもらったのだが、今回は、私がそう思う理由について述べたいと思う。

合気の現象化を見た時に、「不思議だ」と感じるのは、自分が今現在持っている頭脳や能力では解明出来ない事に驚くからである。しかし、この事実に直面しても尚、自分の経験と知識やそのアレンジで対処出来るはずと思ってしまう“挑戦者”が、かなりの数で存在する。なぜ、そのような勘違いが起こるのか?といえば、掛けている人が、自分でもマネ出来る動きしかしていないからではないだろうか?

現象自体はとても不思議なのだが、掛けている人の動き自体は、取り立てて難しい様には見えないのだと思う。だから、自分が見える範囲の光景を手がかりに、見よう見まねで試行錯誤を重ねる事になるのだが、残念ながら、寸分違わず動きを完コピしたとしても、合気が発生する事はあり得ない。

なぜなら、映像に出ている現象や人の動きは全て“結果”だからである。その“結果”だけを真似しようとしているので、自分1人の動きだけでは、当然無理がある。その無理を通そうとすれば、相手の協力や同意の下で自作自演に付き合ってもらうか、タイミングやテクニックなど、姑息な手段でお茶を濁すしかない。どちらも本物ではないという事はわかるだろう。

そして、これらが全て“結果”であると理解したなら、その“原因”を見つければ良いのだが、これもまた、絶対に無理なのである。なぜなら、その“原因”は自分が生きてきた中で経験した事がないものだからである。存在自体を知らないから思い浮かばないのである。

人間が導き出せる答えは、自分の知識と経験に基づいているので、目の前で起こった事象を、自分が知っている常識の範疇に落とし込んで考える。だから、動画を見た時に、体の動かし方や動かす角度やタイミングなど、“普通”の発想しか浮かばない人は、その時点で、動画で合気を習得しようとするには経験値が足りないのだ。

合気の現象が起こる“原因”として“意念”や“内部感覚操作”といったものが使用されているのだが、普通の人生を送ってきただけでは、体験することも出来なければ、知る機会さえもない。だから、知らないのは当然で、見えなくてもしょうがないのだが、誰かのお金と時間の無駄になるといけないので、この機会にお話しておこうと思う。