2018年 9月 の投稿一覧

合気練功 カツンとくるところ

合気練功の動画をご覧になると塾長から「カツンとくるところ」という言葉が良く出ていることにお気づきになると思う。このカツンとくるところというのは合気の繋がりではMustの部分である。最近の練功塾では合気の繋がりを3つの段階で練習しているのだが、この「カツンと」が第1段階である。これが来ないと後は何をやっても空回りである。

さてこのカツンを別の表現で表すと、接触点を使って自分が前に行ける(下がれる)ところと言っていいと思う。間違いやすいのは自分勝手に前に動いてしまう動きで、接触点を使えていない場合である。相手と関係なく一生懸命前に出るのは、カンフー映画でよくある戦う前の構えにメチャメチャ頑張ってキレキレの動作を見せているだけのイメージだろうか。
接触点を使って前に行けると言うことは、全身で相手に合気に掛けられると言うことで、ヒトの重心が動くだけの繋がりが存在しているという状態と思われる。「先に合気にかかってしまう」はこのことであろう。この段階をクリアしたら以降の段階:背中の張りを持たせて、作用点が相手側に行くように手順を踏んでいく。

さて、「カツン」をつくるには原理の総動員が必要と思われる。
上方向の圧で相手の肩関節を参加させて、皮膚操作と、自分のカラダの不安定さで支えさせると相手が固まるような場面がある。私は掴まれている手首の皮膚の弾力性を使って(味わって)いくような、または相手の足からゴムを引っ張っていくような操作感覚で行っている。「カツン」の感覚は一度経験していただくと練功の足掛かりになるのだが、動画や文章では伝わりきらないと思っている。

恥ずかしながら自分の失敗例を報告させていただく(何かの参考になれば‥)。
今までの私は状況の変化で「あ、カツンがでた」と捉えていた。しかし、その変化が僅かだったりするとそれに気づけずに、まだカツンになっていないと、その後の操作を探ってしまう。「上の圧が足りていないのか。もう少し前に引き出さないといけないのか、はたまた自分が自立しているためなのか?」といろいろと行うのだが、どうもこれがいけない。もはやカツンときているのだからそれ以上の操作は余分である。やり過ぎを相手に知覚されて繋がりが切れてしまう。やはりカツンときている状況そのものを捉えられるようにならないといけないようだ。
自分が繋がりを求めて何かしようとする動作は、相手のつかんでいる力に対して操作圧が高い事が多い。自分が掛けられる側だとお解りになると思うが、この圧の不均衡は何かをされている感が否めない。サポートして繋がりたくても置いてきぼりにされているようで、繋がり感が希薄になるようだ。つまり、原理「同調」が必要と言うことであろう。

細かい話になるが、私が掴む側で握っている接触点が上がって行く動きが出てくると違和感を覚える。原因は相手の肘関節が曲がっていく動きなのだと思う。自分自身が「今一つだ」と感じる操作なのだが私も無意識にやってしまう動き。よく練習相手に指摘される。これが「カチンとくるところ」。もちろん要求を満たす動きが出来ていない自分に対してである。

とある塾生の雑記 その4 「気感を移動させて遊ぶ」 

とある塾生の雑記 その4 「気感を移動させて遊ぶ」

手掌がジンジンとする内部感覚(以下、気感という)が出てきたら、次はこの気感を移動させる錬功法です。

両腕を目一杯横に広げ、肩と肘を少し落とし、両手掌を上に向けた体勢からスタートします。片方の腕を頭の高さまで挙げ、反対側の腕を腰の高さまで降ろします。この時、両目を閉じ感覚を研ぎ澄まし、上の腕は手掌から肩に血の気が引くような何かが流れる感覚を、下の腕は肩から手掌に向けて何かが流れ込むようなあるいはジンジンとした感覚を待ちます。何も感じなければ、ヤジロベエのようにゆっくりと交互に腕を上げ下げしながら(片側の)手→肘→肩→背骨→(対側の)肩→肘→手と順番に脱力させ、身体的補助をつけて脱力した時に出現する感覚の変化を追いかけていきます。

気感は非常に繊細なもので、力んでいると感じにくくなります。私自身もついつい肩に力が入ってしまい肩から背骨への感覚が上手く出ませんでした。このような時は、微妙に肩や肩甲骨を揺り動かして、皮膚と衣服が擦れるわずかな感覚を頼りに脳内イメージで感覚を増強させると良いと思います。気感はあくまでも内部感覚であり別に何かが出ている訳ではありませんが、このような繊細な感覚が身につけば、自分の体の状態はもちろんのこと、対峙している相手の体の状態も、そのわずかな接触面より読み取ることができるようになります。

合気練功塾では、準備運動として背骨揺らし体操をしますが、気感の移動ができるようになると背骨の揺れで体の力みが程よく取れ、じっくりと内観すれば気感が体全体に波及していきます。卑近な例で恐縮ですが、私はこの気感に体が包まれた「スーパーサイヤ人」状態から両手の気感を丸い球体にギュッと圧縮して「螺旋丸」を作るなどのイメージトレーニングをして遊んでいます。瞬時に気感が出せるようになると楽しいですよ。

合気練功 分析と断片化について

肩が繋がるように少し上へ圧を掛け、握られたところの皮膚を引いて、前足底に重心が来るようにする。自分のカラダも部分の操作にならないように繋げて、かつ不安定さをつくる。きちんと繋がることができれば自分が根こそぎ持って行かれるようなゴム感覚をつくれる。合気練功の手順としてはこんな所であろうか。
手順を説明するときは分かりやすいと評してもらえるが、自分の練習の時は相手からゴソゴソしすぎと言われることがある。実際、少し上に圧を掛けての操作は必要な大きさを通り越してしまう気がする。「皮膚を引いて‥」も引き過ぎているように思うことがある。

合気の繋がりは感覚がとても大事である。繋がれたかどうかを知るのは感覚だからである。上手くいかなかったときの分析は、オンライン動画のテロップ制作やこのブログに取り組んできたことで知らずに長けているのだろう。確かに合気練功の理屈は良く説明できるようになったと思う。でも、上手く繋がれたときはそこまでいろいろな手順を踏んでいないなあと自省する。結局、一つ一つの手順の積み上げでは部分の操作になっていて全体での操作になりにくいのだと思う。できていないところにさらに何かを加えても、できていないが膨らむだけのようだ。できていないと何かを行って出来ている状況にしようとするのは人情である。技術を習得するにはいろいろな説明がないと何をやったら良いのか分からない。練習の段取りが準備できているところが合気練功塾のスゴイところだが、最終的には直感なのかもと思うことがある。

先日、院生全員で合宿を行った。技術の練習も実りの多いモノであったが、夜の酒行での意見交換(?)でも多くの事を気づくことができた。
ある院生さんの表現、「プッと皮を採って‥」、「ブ~~ンとゴムを引いて‥」、「ヒョイッと乗って、」
オノマトペが最強の最終奥義・伝授なのかもしれない。

合気練功 肩帯の力について

合気練功の技は相手の力を使うモノであるようだ。それが相手にとってしたいことに力が使えなかった現象の結果、感覚的に「力が無力化」となるのだろう。2人で練習すると身体の状況は様々なケースがあるが、どのような場合にでも繋がれることを理想としたいものである。

昨今、練功塾では合気上げの練習が集中的に行われている。形としては基本1系の座取りと言うことになる。塾長曰く要素が多岐にわたらないので本当にやるべき事を理解できているかを確認するに最適とのことだ。さて、基本1系で相手に自ら上がってもらえるだけの力を発揮してもらうためには特に肩関節の繋がりが重要と思う。上体だけにその操作は巧みである。押さえ込みにくい位置関係になると肩の力を抜かれて繋がりを切られてしまう(そうなる前に相手のバランスを崩していれば武術的に事足りるのだが、合気の繋がりの維持はできてないだろう)。

皮膚をとって相手の力の方向を少しずつずらしながら上げる力を加えていき、押さえ込ませないもテクニックとしてあると思う。これも相手の力で上がってもらうではないので今の練功塾の方法としては違うとなる。だいたいこちらの上げてやろうとする意識が強いと肘が曲がる。握っている位置関係が高くなり相手にとって不快な状況になる。ある意味、相手は本来の力が出せない状況になっているので無力化と言えなくは無いが、この後、力のぶつかりによる力比べか、肩関節の力を抜いて逃げられるので、上がってもらうと言う最終結果は不可能である。肩の力が逃げにくい方向も確かに存在する。上腕骨を鎖骨の方向へ圧を掛ければ力は逃げにくい。これも有効ではあるが「相手の力を使って‥」と言う部分で本質ではないような気がする。

先日の合気練功塾で操体法を行っているときにふと気づいたことがある。仰向けで相手に膝を左右に倒してもらい腰の回旋を整える操法の時、相手が出す力に従って膝を支えていくと、ある点でちょうどバランスの取れる所がある。そこが相手にとって力が出しやすく心地よいところで、上手くすれば腰の不揃いな緊張が取れて首の辺りまで整うところである。上記の下線部「相手の力に従って…」の時に自分が行っていたのが遠心性の収縮のカラダの使い方であった。自分の筋肉が引き延ばされるように筋の収縮を維持していくと相手の一番力の出しやすいところでバランスが取れるようだ。

話を基本1系に戻す。相手の力を遠心性の収縮で受けると相手が力を出しやすいところで、所謂「かつん」と言う場所に至ると思われる。それを越して動いてゆくと相手は押さえ込む力を発揮しにくい状況になって、体重を乗せてのし掛かっている状態となる。圧の高まりはこちらに肩の繋がりを感じさせるが、相手の腕は体重を支えるための固まる筋力で、上腕を下に働かせようと言う動きは少ない。下へ押さえ込もうという力がないのでこの場合、自分の力で上がってもらう要素は作らねばならない。

僅かでよいので相手が肩関節を使う状況を維持させることができれば、肩が抜けることはないのだろう。相手は肩を使っていることを気づいていなくても良い。むしろこちらの操作が相手に気取られる圧になると、その変化を察知して肩関節の抜けや力みを作ることを許してしまう。相手の意識に上らない操作圧で繊細に繋げる辺りが原理の「裏の力」や「ゆるみ」と言った練功に関連してくるのだと思う。