とある塾生の雑記

とある塾生の雑記その5 「逆転の発想」

とある塾生の雑記その5 「逆転の発想」

合気練功塾には数々の逆転の発想があります。武道・武術・格闘技の経験者であればあるほど、今までの常識から脱却できずにもがき
苦しんでしまい、結果的に素人の方が早く上達してしまうなんてことが起こります。今回は、この逆転の発想についてお伝えします。

① 自立しない、相手に委ねる
合気練功塾では、接触面で互いに引っ張り引っ張られて、二人で一つの重心を形成するという関係性を重視します。最初は互いの踵が
浮くぐらい不安定にしてその感覚を体に染み込ませます。ほんの少し相手に委ねることで、無意識に相手が緊張して裏の力などが通り
やすくなります。私は暇を見つけると、ドアノブや机を相手に引っ張り引っ張られの状態を片手→5本指→3本指→2本指→1本指で
作り出し、この不安定な感覚を意念で再現できるように一人遊びを楽しんでいます。

② 相手に合気をかけない、まず自分にかける
これは塾長に手を握ってもらうと大変よくわかります。合気の体の状態で握られるとその瞬間から接触の柔らかさと相まって、優しく
何かが侵入して自分の体を変えてしまうような独特の感覚に襲われ、何も贖うことができなくなります。少しでも痛いとか不快だとか
を感じ取れば、拒否反応や逃避反応も起きるのでしょうが、その心地よさに思わず笑いがこみ上げてくることもあります。本当の施術
家の手とはこういうものなんだなとしみじみ思います。

③ 力で挙げない、勝手に上がる
合気上げには色々なやり方がありますが、合気練功塾のそれはほとんど力を必要とせず、ミリ単位の重心操作で相手が勝手に上がって
行きます。動画では挙げているように見えますが相手の手に追従して上がっているだけです。体が上がるためには「ここ」という一点
があり、最近の個人レッスンでこの深遠なる「ミリの世界」の一端を垣間見ることができましたが、微視的にそのポイントを探そうと
すると結局力みが生じてしまい、失敗してしまいます。あれこれ探すより自分で作るのが近道なのかなと思う今日この頃です。

とある塾生の雑記 その4 「気感を移動させて遊ぶ」 

とある塾生の雑記 その4 「気感を移動させて遊ぶ」

手掌がジンジンとする内部感覚(以下、気感という)が出てきたら、次はこの気感を移動させる錬功法です。

両腕を目一杯横に広げ、肩と肘を少し落とし、両手掌を上に向けた体勢からスタートします。片方の腕を頭の高さまで挙げ、反対側の腕を腰の高さまで降ろします。この時、両目を閉じ感覚を研ぎ澄まし、上の腕は手掌から肩に血の気が引くような何かが流れる感覚を、下の腕は肩から手掌に向けて何かが流れ込むようなあるいはジンジンとした感覚を待ちます。何も感じなければ、ヤジロベエのようにゆっくりと交互に腕を上げ下げしながら(片側の)手→肘→肩→背骨→(対側の)肩→肘→手と順番に脱力させ、身体的補助をつけて脱力した時に出現する感覚の変化を追いかけていきます。

気感は非常に繊細なもので、力んでいると感じにくくなります。私自身もついつい肩に力が入ってしまい肩から背骨への感覚が上手く出ませんでした。このような時は、微妙に肩や肩甲骨を揺り動かして、皮膚と衣服が擦れるわずかな感覚を頼りに脳内イメージで感覚を増強させると良いと思います。気感はあくまでも内部感覚であり別に何かが出ている訳ではありませんが、このような繊細な感覚が身につけば、自分の体の状態はもちろんのこと、対峙している相手の体の状態も、そのわずかな接触面より読み取ることができるようになります。

合気練功塾では、準備運動として背骨揺らし体操をしますが、気感の移動ができるようになると背骨の揺れで体の力みが程よく取れ、じっくりと内観すれば気感が体全体に波及していきます。卑近な例で恐縮ですが、私はこの気感に体が包まれた「スーパーサイヤ人」状態から両手の気感を丸い球体にギュッと圧縮して「螺旋丸」を作るなどのイメージトレーニングをして遊んでいます。瞬時に気感が出せるようになると楽しいですよ。

とある塾生の雑記 その3 「ゴム感覚(二元のカラダ)」

とある塾生の雑記 その3 「ゴム感覚(二元のカラダ)」

一元のカラダ(1本のゴム感覚)が出来たら、二元のカラダ(2本のゴム感覚)作りになります。練功方法としては、一元のカラダの動きに、胸と背中がそれぞれゴムで引っ張られているような感覚で重心を前後に移動させる動作を加えます。初めは動作を大きくしてこれ以上重心を移動させると倒れてしまう手前(際)まで追い込みます。この時、カラダ全体がゴムの感覚を持ったまま不安定な姿勢になることで、自分の体幹と手足が一つに繋がる感覚も一緒に養います。注意しなければならないのはカラダを硬直させすぎるとゴムの弾力感がなくなってしまうので、際まで追い込んだ時のカラダ全体の感覚をしっかりと保ちながら動作を徐々に小さくしていきます。

最近、いつも奥義を伝授して下さるある院生の方より2本のゴムだけではなく、たくさんのゴムで繋がっているイメージを持つ方法を教えていただきましたが、そのようなイメージを持つだけでなんとなく素早い動きが出来なくなり、さらに練功を進めると呼吸による僅かな身体の膨張収縮や背骨の揺らぎにも、餅のような粘り気が出てきます。そして意識を内面だけでなく表面に向けると皮膚に空気が纏わりつくような感覚(空気の抵抗感)や水の中にいるような感覚(水の抵抗感)が出現するようになります。さらに自分のカラダという大きなゴム風船が呼吸の力により中心から絶えず膨張するイメージでいると私流のゴムゴム人間の完成です。

二元のカラダ作りでゴム感覚とカラダを繋げる感覚を養っておかないと、相手と接触しても何も感じず、結局力に頼ってしまうということになりかねません。まだこの感覚がわからない方は是非とも合気練功塾や集中講座に参加し練功されることを強くお勧めします。
練功の際の一つの参考にしてみて下さい。

とある塾生の雑記 その2 「ゴム感覚(一元のカラダ)」

「ゴム感覚(一元のカラダ)」 

「合気練功のための修練体系」「合気のカラダ」の中に「身体内外のゴム感覚」というものがあります。一元のカラダ(1本のゴム感覚)の練功方法は非常にシンプルなもので、両手を胸前において両手の間隔を左右に広げる・縮める動き(開と合)だけです。しかしこの動きに合わせて、心を鎮め身体の力みをとり内部感覚のセンサー感度を徐々に高めていくととても不思議な感覚が出現してきます。

今回は、合気練功塾の重要なキーワードである「ゴム感覚(一元のカラダ)」について、この感覚を習得するまでの私自身のイメージの変遷(感覚の深化)を交えてお伝えします。

開:「磁石」⇨「納豆」⇨「餅」
私自身、一番最初に出現したものが、前回コラムでも書いたように磁石の斥力のような反発する力でした。両手掌を合わせて主連棒のようにゆっくりと回転させながら、両手間隔を少しずつ広げていくと手掌全体に納豆が糸を引くような粘り気をわずかに感じるようになりました。距離にして数センチほどでしたが、その感覚を頼りに練功を続けていくと、両手間の距離を伸ばしてもこの感覚が途切れなくなりました。さらに数ヶ月位繰り返し練功していると、納豆のようなネバネバとした感覚がだんだんと餅のような強い粘りに変化し、手掌だけでなく体全体にも広がっていきました。粘性が強くなってくると体を大きく動かさなくても気感も一緒に出せるようになり、内部感覚をより強く感じるようになりました。さらに体のセンサーの感度がより高まった影響なのか、今まで感じたり意識したりしたことがないような体の中に柱のような筒のような軸みたいなものを漠然と感じ取ることができるようになりました。

合:「ゴム風船」⇨「ゴムボール」⇨「螺旋丸」
反対に、両手間隔を縮める場合は最初からうまく感覚が出なかったため、まず脳内でゴム風船を圧縮するイメージで練功を続けていくとゴム風船の弾力が徐々に強くなりゴムボールのような感覚に変わってきました。さらに半年ほど経過すると気感が丁度良い具合に出てきたのと相まって、ゴムボールというよりまるで少年漫画の「ナルト」に出てくる螺旋丸のような空気を圧縮した塊に変化しました。
一元のゴム感覚については、入塾してまだ間がない頃、塾長より「壁からのゴムを引っ張ってくる」「空間を引っ張ってくる」ということを教えてもらいましたが、最近になってその感覚が物凄くよくわかるようになりました。

一年間の練功で、わらしべ長者ではないけれども、内部感覚が随分コロコロと変わってきたのだなと、改めて感慨深く思うのと同時にこれからこの感覚がまたどのように変化するのか、自分でも非常に楽しみです。個々人の内部感覚は千差万別であり絶対的なものではありませんが、言葉の持つイメージ力には物凄いパワーがあり、まさにこのイメージこそが要訣なのではないかという気がしますので、練功の際の一つの参考にしてみて下さい。

とある塾生の雑記 その1 「内部感覚」

今週は前回、ご案内させていただいたように、塾生さんのアウトプットを紹介させていただきます。
いろいろな表現や考察が、皆さまの練功にプラスになる事と信じております。

「内部感覚」

皆さん、初めまして。合気練功塾に入塾して丸一年になる大屋と申します。
合気練功塾の動画で配信されていない、というか配信されても何をしているか今一つよく理解できないであろう「内部感覚」について、私自身の体験を通して言語化することにより、私自身の合気に対する整理だけでなく、皆さんの合気に対する理解への一助になればと思い、このコラムを書くことになりました。

まず「内部感覚」には自他両方の内部感覚があります。私自身も最近ようやく他人の内部感覚が少しずつ分かり始めてきましたが、自身の内部感覚がよく理解できていないと他人の内部感覚も理解できないため、日々の錬功に取り入れている準備運動的な内部感覚の養成法について列記します。

① 両手掌を合わせて擦り合わせる(30秒)
② 両手指をつけたまま、手掌を離し、指尖部(十宣穴というツボ)同士で拍手するように軽く叩く(30秒)
③ 両手をヘソの前まで下げて数cm離し、両手に意識を集中する

すると、両手や指先が、熱いお風呂に入った時に感じるようなジンジンとした感覚に包まれます。あまり難しいことは考えずに、この感覚が「気感」なんだと脳にインプットし、じっくりと味わいます。( Don’t think, feel. )

④ 蒸気機関車の主連棒のように両腕を交互にゆっくりと動かす

すると、両手が磁石の斥力のようにお互いに反発し合う感覚が出てきます。その状態で両手の間隔を少しずつ離し、この感覚が途切れないように繰り返し練功します。ある院生に教えていただいた③の状態から片方の手で反対の手掌に向かって指差し円を描くと、手掌にもその感覚が伝わるという意識のトレーニング方法も面白いので、是非試してみてください。

内部感覚について、私自身の勝手な解釈では体のセンサーの感度を最大限に高めて非常に繊細な感覚になると色々なことを感じやすくなる、またそのために如何に力まずにできるのかがポイントになると考えています。まだ、この感覚がハッキリとわからない方はまずはあまり力まずに①から④を繰り返し、この不思議な感覚を堪能してみてください。